溶接工Story

#2 紀元前から!?「溶接」の歴史

#2-溶接工

「溶接」の歴史を知ろう

ユウちゃん
ユウちゃん
「溶接」を救うとは言ったものの、実際のところ「溶接」って何なの?
ヨウくん
ヨウくん
僕たちの周りにはいろんな鉄の加工品があるけれど、「溶接」っていつから始まったんだろう…。
ユウちゃん
ユウちゃん
そうだ! 「溶接」のレジェンド「タクラ」に聞きに行ってみない?

[キャラクター紹介]

●「溶接」のレジェンド「タクラ」
「溶接」に携わって50年以上。高い溶接技術を持つだけでなく、自らの技術・知識を伝授することで、これまでに数々の「溶接」のヒーローを育て上げてきた。

タクラ
タクラ
キミたちか、「溶接」の危機を救うために立ち上がってくれた若者は。よかろう、まずは「溶接」の歴史を話して聞かせよう。

紀元前3000年にすでに存在した「溶接」という技術

古代エジプトの時代から、「溶接」の技術があった。(王家の谷 ホルエムヘブ王の墓壁画)
タクラ
タクラ
「溶接」という技術は、今から5000年以上前の紀元前3000年にはあったんじゃ。当時は、金属を接合する方法として、鍛接、リベット接合、ろう付けが用いられておった。
金属を接合する方法

●鍛接
金属(母材)を高温に熱し、叩いたり、圧を加えて接合する方法。

●リベット接合
板状の2つの母材を重ねて両方の同じ位置に穴を開け、その穴に大きな釘のような形状の金属製のリベットを貫通させ、先端部をつぶすことで2つの部材を固定する接合方法。

●ろう付け
ろう材と呼ばれるのり・接着剤の役割をする合金を接合部の隙間に挟み込むことで接合する方法。

〈例えば…〉
・メソポタミア地方で発見された雄鹿の頭部をあしらった銅製の飾り板(レリーフ)の枝角の接合には「ろう付け」が用いられていた。
・紀元前1400年頃に造られた古代エジプト王ツタンカーメンの黄金の棺の中から、明らかに「鍛接」したとみられる鉄製の装飾品が発見された。
・1950年代につくられた東京タワーの鉄骨は職人によるリベット接合。

タクラ
タクラ
古くからあった「溶接」じゃが、近代的な技術としての幕開けを迎えたのは19世紀の産業革命のときじゃ。ここでやっと金属を溶融させて接合する技術が生まれたんじゃな。

世界の文化、科学、産業を発展させたのは「溶接」

東京タワーの夜景。高度成長期に作られた東京タワーも鉄でできており、リベット接合で作られている。
タクラ
タクラ
「溶接」というのは、人類が鉄をつくることを覚えた時からの長い歴史があるんじゃ。鉄を焼いて、叩いて、伸ばして、いろんな形に変えて、硬くする。そうやってさまざまなものをつくった結果、世界の文化、科学、産業はものすごい勢いで進化したんじゃのう。そして今も、その技術は進化し続けておるんじゃ。
タクラ
タクラ
ちなみに、日本の「溶接」技術が大きく発達した要因は造船じゃ。島国である日本にとって、船はとっても重要な乗り物じゃった。海水や波、風などの影響を受けない強い船を造るために発達した日本の溶接技術は世界でもトップクラスじゃぞ。
さらに、熱した鉄をハンマーで繰り返し打って加工する「鍛接」は、古くから日本でも用いられておったぞ。その代表的なものが日本刀じゃ。軟鉄に鋼を焼いて何万回も打つからこそ完成する美しい日本刀を、わしは「溶接」の最高傑作じゃと思うておる。
刀鍛冶
ヨウくん
ヨウくん
確かに、僕たちの周りには鉄を使ったいろんなものがあるね。大きな構造物だけじゃなく、身近にある小さなものにも鉄は使われているし。
ユウちゃん
ユウちゃん
鉄を加工する「溶接」という技術がなければ、私たちの暮らしは、きっとこんなに豊かになっていなかったわね。
タクラ
タクラ
その通り。「溶接」は実はわしらの暮らしにとてつもなく大きな影響を与えておるんじゃ。
ユウちゃん
ユウちゃん
鉄ところで、鍛接、リベット接合、ろう付け以外に「溶接」の種類はあるのですか? 5000年の時を経て、もっとすごい技術が生まれたのでは…。
タクラ
タクラ
さすが未来を託された者、勘が冴えておるな。それでは、現在行われている「溶接」の種類を教えよう。